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遺言無効確認の訴訟においては、被告は遺言書の有効性を主張することが通常ですので、無効を主張する原告側で、「なぜ無効と言えるのか」について説得的な主張立証をする必要があります。
具体的な争点がどこになるかは事案次第ですが、ある程度の類型かは可能であるように思います。ここでは、典型的なパターン別に、ポイントになりそうな点をまとめてみたいと思います。
1 遺言能力を争う場合
前提として、遺言が有効であるためには、遺言者には、遺言の内容を理解する能力(遺言能力)が必要です。
例えば、形式的には遺言者の作成した遺言であっても、認知症等によりその内容を理解することができない状態だった場合には、遺言は無効となり得ます。
「遺言書作成時(通常は遺言に記載の日付時点)において遺言能力がなかった」という主張をする場合、遺言者が遺言時に相当程度高齢であることが多いと思いますが、最も重要になるのは遺言者の心身の状態に係る介護・医療記録です。具体的には、病院のカルテ、入居している介護施設の記録等が考えられます。
まずは、こうした記録を取り寄せ(この点は、病院等の対応に差はあるかもしれませんが、基本的には相続人等、遺言者の親族であれば開示を受けることは可能だと思います)、遺言書作成日の前後の経過を詳細に検討することが必要です。場合によっては、医師との面談、意見書作成依頼を行うことを検討すべきです。
こうした結果、医学的な見地から遺言能力に疑問を挟む余地があれば、無効を主張する側としては有力な材料となります。
また、遺言書作成前後における遺言者の言動自体についても、①遺言能力を疑わせる事情がある場合(徘徊、コミュニケーションの不全など)②遺言書の内容と整合しない言動がある場合などは、同様に整理して主張すべきこととなります。
2 遺言者による作成を争う場合
「遺言書が、遺言者以外の者により作成された」と主張する場合もありえます。
この場合は、いわゆる「二段の推定」(↓詳細は下記をご参照ください。)を覆す必要があるので、この点をどこまで説得的に主張立証できるかがポイントになります。
http://www.takai-souzoku.jp/16660686145950
上記1に関し「遺言者は当時すでに重度の認知症であり、遺言書作成日にこのような遺言を書けたはずがない」として、作成者が遺言者である点を争うことも十分あり得る主張だと思いますが、その他、ポイントになりそうな点としては、例えば以下が考えられます。
・遺言書に押印された印鑑が実印か認印か
・印鑑の保管状況(遺言者以外の者も用いることのできる状態だったか否か)
・遺言書の筆跡
・遺言書に使われている筆記具(ボールペンのインクの色など)
3 遺言書の形式を争う場合
ケースとしてはあまり多くないと思いますが、遺言書は、所定の様式に基づき作成される必要がありますので、「この点の要件を欠いている」として争うこともあると思います。
※ほんの一例ですが、過去の裁判例では、例えば、自筆証書遺言であれば原則として「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自署し、これに印を押さなければならない」(民法968条1項)とあるところ、遺言書に「昭和四拾壱年七月吉日」という記載がなされた遺言について、「日付」として有効かどうかが争われたものがあります(裁判所は「暦上の特定の日を表示するものとはいえない」ということを理由に遺言は無効と判断しています(最判昭和54.5.31))。