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第3-4 遺言執行者の権限の明確化等※あくまで検討中の案ですので、ご留意ください。
※追記  平成30年7月6日、相続法の改正案が国会にて可決・成立しました。以下の記載は、改正の経緯を記載したものとしてそのまま残しておりますが、最新の法律の内容ではないので、その点ご留意ください。

遺言執行者とは、遺言等で定めることができ、遺言の内容を実現する役割を担う人のことを指します(遺言を作る際、必ずしも定める必要はありません)。その権限等については現行法にも規定がありますが、不明確な部分もあるため、この点をより明確化することが検討されています。

1 遺言執行者の一般的な権限・義務について

①遺言執行者は、遺言の内容を実現することを職務とし、遺言の執行の妨害の排除その他遺言の執行に必要な一切の行為を行う権限を有する。

②遺言執行者の行為の効果は相続人に帰属する。

③遺言執行者として指定された者が、遺言執行者への就任を承諾し、または家庭裁判所により遺言執行者に選任されたときは、その遺言執行者は、遅滞なくその旨及び遺言内容を相続人に通知しなければならない。

2 民法1013条(遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない)の見直し

第一案

同条を削除する。

第二案

遺言執行者がある場合には、相続人がした相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為は、無効とするものとする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができないものとする。

※「善意」とは、日常的な用語と意味の異なる法律用語であり、ある事実等を「知らない」という意味です。

3 個別の類型における権限の内容

①特定遺贈がされた場合

遺言執行者があるときは、遺言執行者が遺贈の履行をする権限を有する。但し、遺言者がその遺言に別段の意思を表示した場合にはこの限りではない。

②遺産分割方法の指定がされた場合

・遺言者が、遺産分割方法の指定により遺産に属する特定の財産を特定の相続人に取得させる旨の遺言をした場合において、遺言執行者があるときは、遺言執行者は、その相続人(受益相続人)が対抗要件を備えるために必要な行為をする権限を有する。

・上記の財産が特定物である場合においても、遺言執行者は、受益相続人に対してその特定物を引き渡す権限を有しない。但し、その特定物の引き渡しが対抗要件となる場合には、上記と同様とする。

※「特定物」とは、法律用語で、「当事者が、物の個性に着目して特定した物」というくらいの意味です。

・上記の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、その預貯金債権を行使することできる。

・以上の規定は、遺言者がその遺言に別段の意思を表示した場合には適用しない。

4 遺言執行者の復任権、選任、解任等

①遺言執行者は、事故の責任で第三者にその任務を行わせることができる。この場合、やむを得ない事由があるときは、相続人に対して、その選任および監督についての責任のみを負う。

②遺言執行者は、正当な理由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務の全部または一部を辞することができる。

③遺言執行者がその任務を怠ったときその他正当な理由があるときは、家庭裁判所は、受遺者又は相続人の申立てにより、遺言執行者を解任することができる。

④遺言者が選任した遺言執行者が相当の期間内にその任務に属する特定の行為をしない場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、受遺者又は相続人の申立てにより、当該行為について遺言執行者の権限を喪失させることができる。

⑤家庭裁判所は、②から④までの場合において必要があると認めるときは、受遺者又は相続人の申し立てにより、新たに遺言執行者を選任し(②又は③の場合)、又は特定の行為について権限を有する代理人を選任することができる(②又は④の場合)。

 

 

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