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遺言に基づく権利の移転に関する裁判例

遺言に基づく権利の移転
※相続法の改正以後は,改正事項に関連する法律問題については,これまでの裁判例と異なる判断がなされる可能性があることにご留意ください。

「相続させる」旨の遺言の効力(最判平成14年6月10日)

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は,特段の事情のない限り,何らの行為を要せずに,被相続人の死亡の時に直ちに当該遺産が当該相続人に相続により承継される(最高裁平成元年(オ)第174号同3年4月19日第二小法廷判決・民集454号477頁参照)。このように,「相続させる」趣旨の遺言による権利の移転は,法定相続分又は指定相続分の相続の場合と本質において異なるところはない。そして,法定相続分又は指定相続分の相続による不動産の権利の取得については,登記なくしてその権利を第三者に対抗することができる(最高裁昭和35年(オ)第1197号同38年2月22日第二小法廷判決・民集17巻1号235頁,最高裁平成元年(オ)第714号同5年7月19日第二小法廷判決・裁判集民事169号243頁参照)。したがって,本件において,被上告人は,本件遺言によって取得した不動産又は共有持分権を,登記なくして上告人らに対抗することができる

※一言コメント

下記昭和39年最判、昭和46年最判と異なり、「相続させる」(≠遺贈する)という遺言については、遺言がなく被相続人の地位を相続によって承継する場合と法的には同視できるため、この場合は登記が不要と判示したものです。

少し専門的な話になりますが、判例は「相続させる」という遺言の趣旨について、おおまかに言って

(1)特段の事情のない限り、当該遺産を当該相続人をして単独で相続させる遺産分割の方法を定めたもの(民法908条参照)と解すべきである

(2)特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言があった場合には、当該遺言において相続による承継を当該相続人の意思表示にかからせたなどの特段の事情のない限り、何らの行為を要せずして、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに相続により承継される

という考え方をとっており、これと整合性を保つ判断であるといえます。

共同相続人間の遺産分割における権利移転の対抗要件(最判昭和46年11月16日)

思うに、被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があつた場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもつて決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあつても、このことは右の理を左右するに足りない。

※一言コメント

下記昭和39年最判の理論が、推定相続人相互の間においても妥当することを示したものです。

遺贈による権利移転の対抗要件(最判昭和39年3月6日)

『ところで、不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても、その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、所有者は全くの無権利者とはならないと解すべきところ(当裁判所昭和三一年(オ)一〇二二号、同三三年一〇月一四日第三小法廷判決、集一二巻一四号三一一一頁参照)、遺贈は遺言によつて受遺者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限とするものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じないものと解すべきである。そして、民法一七七条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。』

※一言コメント

遺言による贈与(遺贈)による不動産の移転は、民法177条の対抗問題(先に所有権移転登記を具備したほうが優先する)に服する旨を確認したものです。

指名債権の特定遺贈と対抗要件(最判昭和49年4月26日)

『特定債権が遺贈された場合、債務者に対する通知又は債務者の承諾がなければ、受遺者は、遺贈による債権の取得を債務者に対抗することができない。そして、右債務者に対する通知は、遺贈義務者からすべきであつて、受遺者が遺贈により債権を取得したことを債務者に通知したのみでは、受遺者はこれを債務者に対抗することができないというべきである。原審の確定したところによれば、本件貸金債権の遺贈については、受遺者である上告人から債務者である被上告人らに対し本件訴状送達により通知されたというのみで、適法な債務者に対する通知又は債務者の承諾がなかつたというのであるから、上告人は遺贈によつて取得した本件貸金債権をもつて被上告人らに対抗することができないとした原審の判断は、正当である。』

※一言コメント

民法467条より、債権の譲渡を債務者に対抗するためには、譲渡人による債務者への通知又は債務者の承諾が必要とされています。本判決は、債権譲渡が遺贈の形でなされる場合についても、上記のルールに服することを確認したものです。

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